G633の怪

地雷は承知の上


 ロジクールのヘッドセットG633を買いました。
 ところがこれamazonのレビューを見るとサラウンドで認識しないと中々の不評な様子。
 英語圏向けの公式のフォーラムも同様の様子。
 ただ、raddit上でロジのアカウントが「ステレオ認識は仕様」という風に言っていたり、それに対して「それじゃ多チャンネルを受け付けられないじゃないか」とユーザーから反論されたり、いろいろ混迷が深い様子。
 この辺は承知の上で、

  • 話した声がそのままヘッドホンからスルーで再生出来る(いわゆるサイドトーン)
  • USBで接続できる
  • 蒸れない
  • そこそこちゃんとしてる音
 という条件で探すとこれかなぁということで買いました。
 ハードウェアはいいモノらしいので、更新が効くドライバはそのうちに改善されるかなぁと。


サイドトーン大事


 私の部屋は二重扉なのですが、低音だけは寝室までズンドコ抜けてしまいます。
 となると夜のゲームはヘッドホンに必須になります。
 よくあるゲーミングヘッドセットって密閉型が多く(大会とかうるさいところでの使用を想定しているんでしょうね)、自分の声が聞こえないのが苦手でした。
 なので、耳にはSENNHEISERの開放型ヘッドホン、首からマイク用にエレコムの安価なヘッドセットをかける、という状況でゲームをしていました。
 首にかけたヘッドセットや二本もケーブルが繋がっているのはなかなか鬱陶しく、とくにヘッドホンとマイクのケーブルが絡まりやすいのが難点でした。

 

LGSを有効にするには規定のデバイスに


 早速繋いでみて、LGSの最新版を入れました。
 認識は散々既出のステレオ。適当に鳴らしてみながらLGSの設定を変えても…変化がない。
 なるほど荒れるわけだ、などと思いながらサウンド設定を見てたら規定のデバイスになっていませんでした。(アプリの出力先だけ設定していて、OSはDAW用デバイスが規定になってた)
 もしかしてと思ってG633を規定のデバイスにしたところ無事音に変化が。
 規定のデバイスにしないとLGSの設定が生きないようです。

テスト音源作り


 ただこの変化がサラウンドかどうかはわからない。
 ということで早速テストなのですが、手頃なチェック音源がない。
 映画やデレマスの特典の5.1版とかを流してみても聞こえてくる音が正解かどうかはわかりません。
 物理的なサテライトスピーカーがあるわけじゃないので、個別のスピーカーを確認するなら各チャンネルごとのテストトーン的なものが必要ですが、あいにくと持ってません。
 無いなら作ろうということで、波形編集ソフトで多チャンネルファイルを作ることに。
 音声合成サービスの音声を「レフトチャンネルです」「ライトチャンネルです」「レフトリアチャンネルです」…と入れて7.1chのWAVで保存。

早速テスト 


 MPC-HCを起動して、内蔵デコーダ(lav filter)の設定からパススルー系を全部OFFにして7.1chのPCMデータとしてデバイスに渡すようにします。

 これで再生しながら、LGSでDolby audioに切り替えて、サラウンドミキサーで一つのチャンネルをだけ11にして他を0に。
 これでもし、ただのステレオとして流れているのであれば音声がまとめて再生されて、助けて聖徳太子状態になるはずです。
 逆に機能していれば、チャンネル名が一つづつ読み上げられるはずです。

 でポチッと再生したところ…「センターチャンネルです」。あれ、再生チャンネル絞れてる。
 他のを変えてみると「LFEチャンネルです」「レフトサイドチャンネルです」。
 聞こえ方も横や後ろからとちゃんと変化します。

 あれ?動作してますよ。

 作成、使用したテストファイルはこれの中の7.1test.wavです。
 
 2015/10/29修正
 ・公式からテストファイルが公開されていたのでそちらのほうが効果がわかりやすいです。 ファイルは下のリンクの先にあります。
 ・あと考えればWAVなのでMPC-HCじゃなくてWMPで良かったですね。


 設定のメモ

・出力のオーディオレンダラのところは、「内部オーディオレンダラ」以外を選びます。
WASAPI排他モードが使えるなど音質面で有利なこのモードですが、WASAPIへの接続が独特なのかこのテストでは共有モードでもサラウンドが効きませんでした。
 DirectSoundのG633を選ぶのが無難ぽいです。

・OSの再生デバイスのプロパティにある「詳細」のところで設定する共有モードのサンプリングレートで96000Hzを選ばないこと。
 LGSに書いてある、語順が誤訳な感じのアレです。

 DTS HeadPhone:Xでもテスト


 DTS Headphone:Xモードの場合、サラウンドミキサーがありません。
 なので1chずつ試すことが出来ないので、1chずつ再生タイミングをずらしたものを用意しました。
 こちらもちゃんと鳴り方が変わって聞こえました。

 作成、使用したテストファイルはこれの中の7.1test_delay.wavです。
 同上の理由。

謎の技術


  どうやらステレオで受けてるようですがどこかで7.1chに分解される様子。
 windowsのダウンミックスルーチンに最適化されているのか、その手前でフックしているのか。
 なんとなく、G633のLFX APOとWASAPI内でのオーディオエンジンのミキサーの処理順が怪しいのですが、ちゃんと調べたわけではないので、怪しいなぁという所止まりで。

 わかりにくい仕様


G633は同梱物に特に読む価値がある説明書が入っていません。
 箱の底面に接続の図解が書いてあるのとあとは保証書くらいです。
 ステレオ認識が正しいにせよ、7.1ch認識が正しいにせよ、正常動作はこんな感じになるよ、という解説が欲しいところですね。
 
 使用感とかレビューはまた今度で。

 

2015/10/28追記 公式に説明が出てた


 英語版のフォーラムに、新しいドライバでの認識についての説明が出ていました。

New audio processor for Dolby Surround and DTS with Logitech gaming headsets - Logitech Support Article

 どうやらステレオ認識で正しい模様。
 ざっくり見るとLGS 8.7.xから安定性のために新しいAPOを使ったドライバにしたよ、紛らわしいけどスピーカー設定はステレオ認識なるよ、サンプルファイルを置いておくから確かめてね、というみたい。
 
 なんか、やっぱちゃんとしたファイルのほうがサラウンドの聞こえ方が良いな。
 


 一応AA貼らせていただきます。